分かりやすくてつじつまの合った話

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「人は、分かりやすくてつじつまの合った話を信じる」とある人から聞いた。そのとき、まさかと思いつつ、一方で思い当たることがいろいろ出てきて、目から鱗の感じがした。

その後、意識していろんな事象を見てみると、確かに人は分かりやすくてつじつまの合った話を信じやすいと理解できる。詐欺にだまされるのも、効果のない健康食品にはまるのもその一例だろう。
ある堅い職業の人が、アメリカからは月の裏側が見えると思っていた、という話を聞いて驚愕した。地球の裏側にまわると月の裏側も見える、という「裏つながり」でつじつまが合っている。

決定的なことがあった。
ある責任ある立場の人が、「○○さんの話は、分かりやすくてつじつまが合っている」と言って、○○さんの話を鵜呑みにしているのだ。重い責任を持った方がモロに言うとは、驚きのあまり言葉が出なかった。

いわゆる理系の人間は、こういうテーマには敏感な傾向がある。本来、自然科学をベースに生きているわけだから、科学を否定することは自己否定につながる。物心ついた頃から「科学的である」ことに価値を見いだし、非科学的な言動を排除して成長してきたのだ。

分かりやすいことは大切なことだ。問題は「つじつまが合っている」というところなのだ。
つじつまが合っていない話は、自己破綻しているから論外だ。では、つじつまが合っていれば正しいか、というと必ずしもそうではない。つじつまが合っていても、事実と異なる話はいくらでもある。先の○○さんの話はその典型だった。

理系の人間だって深く考えていないと、思い込みになったりだまされたりすることがある。
つじつまが合っているだけでなく、事実と合っているかが決定的に重要なのだ。しかしその事実を知らなければ判断のしようがない。たとえば、「花粉症にならないために花粉をいっぱい浴びて免疫を付ける」と言っている人がいた。何の悪意もないし健康でいたいという願いがこもっているが、花粉をいっぱい浴びて免疫が付いたら花粉症になる、という事実を知らないのだ。

善良な人間の特性を知った上で、それを利用して利益を得ようとする人がたくさんいる。
利用されたら、いつか必ず不利益を被ることになるという事実を、重く受け止めたいものだ。

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このページは、佐伯英子が2016年6月 3日 00:06に書いたブログ記事です。

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